“バレルサウナ”とはひと味違う。銭湯サウナの楽しみ — 東京池袋 五色湯
日頃から私たち日本発のキューブサウナ“サウネア”をご愛顧いただきましてありがとうございます。サウナ体験は“産湯”が“RIISI(リージ)で、普段通いが温浴施設という異色なビギナー、私“O-JI(オージ)”が、素朴な疑問や新鮮な印象をお伝えできればと思っています。ぜひよろしくお願いいたします。今回は、近年リノベーションされ、サウナを設置する銭湯が増えるなかで、気軽に通える銭湯サウナの魅力についてご紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
リノベされ、サウナが設置される銭湯
ここ数年で老舗の銭湯がリノベーションされて、装いも新たにサウナを設置する場所が増えました。西武池袋線の「池袋」駅のすぐ隣、「椎名町」駅の近くには2つの人気サウナスポットがありますが、「五色湯」はその一つです。昭和27年開業の老舗銭湯で、昨年の9月にリノベーションされた銭湯のサウナとはどんな感じでしょうか。実際に行ってみた体験をご紹介します。
「五色湯」の外観は、のれんの上に欄間の彫り物がある落ち着いた老舗旅館のような佇まいで、気軽に自転車で行ける距離なのに、まるで旅行に来たような気分を味わえます。
入り口から下駄箱まで段差のない緩やかなスロープにも優しい心配りを感じました。
混雑を避けて土曜日の早めの夕方に行ったのですが、玄関前には「男湯サウナ30分待ち」の看板が…。すでに混み始めており、サウナ人気を反映していました。
スタッフの方に「1人なら大丈夫ですよ」と言われて、券売機の入湯料+サウナチケットと下駄箱の鍵を受付に預けると、タオルと白いアクリルでできた謎の板キーホルダーのようなものを渡されました。これはいったい何をするものだろう?と、ちょっと戸惑いましたが、どうやらサウナ室の扉を開けるフック鍵のようでした。
早くサウナに入りたいと高まる気持ちで、のれんをくぐって脱衣所へ。そこは全体がレトロ調に統一された落ち着いた黒と茶色の壁や天井、吊られたランプの暖かな色の灯りに「ここは本当に池袋?」と思わず立ち止まって空間を堪能。大きな漢数字がデザインされたロッカーに広い畳床の空間が独特の落ち着いた雰囲気を醸し出していて、ゆったりと脱衣できます。
そこから見えるガラス戸向こうの浴場は、明るさを抑えたライティングで一気に旅情気分が高まります。それぞれ檜桶が置かれた洗い場で、やや熱い勢いよく出るシャワーを浴びて身体を洗って、さあいざサウナへ。
見せてもらおうか!銭湯サウナの“ととのい”とやらを!
サウナは洗い場の奥にタイル張りの角の丸い建物の中にあり、入り口扉には取っ手がなく、スリット状の穴に先ほどの謎のフック鍵を引っかけて開け、中に入ると一気にサウナの熱気が身体を包みます。サウナ室内は余裕で4人が座れるベンチが2段あって、照明が抑えられた中でベンチ下から照らされるライトがサウネアの“アウトドアサウナ”、“RIISI(リージ)”のようでもあり、とてもおしゃれです。入り口から遠い角にあるストーブ正面のベンチだけがちょうど上下二段ともに空いていたので、ラッキーと思って上の段に座ってみると、そこは室内の高熱帯熱気に加えて前からストーブの熱気がムンムンと来るような結構しんどい場所でした。とはいえ下段はさらにストーブに近づいて、上段以上に前からの強烈な熱波に、しまった!この場所は熱にそんなに強くない私にはトラップだった!?と後悔。他の席が空いたタイミングで移りました。
今日来るまでは正直、そうは言っても町中の銭湯サウナと侮っていましたが、本格的な熱波による洗礼を浴び、人が出入りしても安定して100度超えの温度を保てる、しっかりした作りのサウナだと驚きました。ただの旅情雰囲気だけが売りの銭湯サウナではなかったのですね。
ストーブの上に置かれた水を張った寸胴で湿度が保たれていて室内はそれほど息苦しくはありません。
“アウトドアサウナ”だけじゃない、銭湯でも外気で“ととのえ”る!
ストーブから離れた上段に座って時計をただただ見つめながら待つこと12分、サウナ室を出るとちょっとホッとしました。冷水シャワーを挟んで適度に冷えた18度水風呂に一気に浸かりました。水風呂に慣れてきたせいか以前ほど息苦しさを感じません。
冷水から上がると目の前にタイル張りの“ととのい”ベンチがあり、さらにその正面に屋外の外気浴場に出られる扉がありました。外に出てみると、そこは外気浴チェアが4つ置いてあり、灯りは足下の行灯だけという薄暗く狭い場所ですが、吹き抜き天井で、チェアに身を預けて頭を後ろに反らしてみると、まるで煙突の底から空を見上げるような光景で、紛れもなく生の空を拝めます。外の空気を肌で感じ、見上げた夜空の雲の流れを眺め、かすかに響く道路や飛行機のジェット音など都会のノイズを聞ききながら、静かに“ととのい”の感覚に没頭していると、なんと、隣の席からいびきが聞こえ始めるではないですか!外気でより深くリラックスして、ついつい寝落ちしてしまったようです。
いい感じに“ととのい”感覚が収まったところで、脱衣場に戻ってドライタオルに身を包んで水分補給しながらくつろぎました。サウナーの定番ドリンク、“オロポ”(オロナミンCをポカリで割ったもの)が身に染み渡ります。これら一連の温冷交代浴を3回繰り返し、仕上げにジェット風呂もある湯船に浸かって温まると、すっかり仕上がって1週間の疲れがスッキリと癒やされました。帰宅後の食事も美味しく、ぐっすりと眠れて、こんなにも気軽な距離でもちょっとした旅行気分を味わえたことに大満足でした。
思い出してみれば、昔の銭湯には脱衣場の横にガラス戸を隔てて謎の日本庭園があり、決まって灯籠と池には鯉が泳いでいた記憶があります。そうした雰囲気の中での外気浴もしてみたいものです。
まとめ | “バレルサウナ”など、サウナの愉しみ方は人それぞれ
今回は、近年リノベされた銭湯サウナってどんな感じなのかを、気軽に通える距離の施設で体験したことをご紹介しました。最近はサブスクのサウナで定額を支払えば、1カ月間サウナに入り放題というサービスもあるようで、望めば毎日でもサウナに入れる環境が整いつつあります。
近所にそのような施設があればいいのですが、間にバスや電車などの交通機関の移動を挟むと個人的には億劫になりそうです。なので気軽に行ける距離の銭湯がリノベーションされて本格的なサウナを設置してもらえることはうれしい限りです。もちろん自宅に“バレルサウナ”があればいつでも気兼ねなく入浴できて最高なのですが、なかなか実現には遠く及ばないので、現実は日頃は気軽に通える銭湯サウナ、時々はレジャー感覚で“アウトドアサウナ”や「サ旅」を愉しむといったところでしょうか。“アウトドアサウナ”といっても“サウネア浦和”ならば都心から近く、池袋から車で30分程度で行ける無理のない距離です。こちらでは独自開発のアウトドアサウナ“RIISI(リージ)”をはじめ、“ととのい”に最適な施設ですので、普段と一味違った“ととのい”を体験できるかもしれません。タイミングが合えばオーナーの“YUJI”自ら“ととのい”を直に伝授してもらえることも。ぜひお気軽に足を運んでみてください。私もこれからも一味違った“ととのい”と求めて、いろんなサウナを探索してみたいと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。また、よろしくお願いいたします。